映像作品

荻上直子監督作品 かもめ食堂について

こんにちは。「やっぱり猫が好き」(1988)から小林聡美ともたいまさこ目当てで観ました。結論から書くと良い映画だと思いましたが途中までは理解出来ない映画でした。理解出来ないというのはその場面の必然性についてです。具体的に言うとサチエ(小林聡美…

小林正樹監督作品 怪談について

こんにちは。小林正樹を初めて観ました。非常に芸術的な作品です。一話の「黒髪」を観ていて黒沢清の「叫」(2006)はこれを参考にしたのかなと思いました。一話から背景がVFXなのか明らかに違和感があったのですが二話の「雪女」でいよいよ本領を発揮しだし…

深作欣二監督作品 仁義なき戦いについて

こんにちは。深作欣二をちゃんと意識して初めて観ました。「バトル・ロワイアル」(2000)とかは観たのですが深作欣二とは知らずに観ていたので今回はちゃんと意識して観ました。菅原文太の演技を観ていて萩原健一はかなり菅原文太からインスパイアされてい…

やっぱり猫が好きについて

こんにちは。面白いです。観ていくと初めは小林聡美が好きになって次に室井滋の面白さに気付き最後にもたいまさこのポジションの重要さが理解出来ます。三人の演技のポテンシャルの高さがあって成立する贅沢な番組です。こういうのが放送されていた昔のTVは…

クリント・イーストウッド監督作品 アメリカン・スナイパーについて

こんにちは。私事ですがクリント・イーストウッドで初めて観たのがこの「アメリカン・スナイパー」(2014)です。もう一度観ても最初に観た感覚とあまりズレることなく面白い映画です。適度にフィクショナブルでエンターテイメントに振ってあり、敵軍の同じ…

溝口健二監督作品 西鶴一代女について

こんにちは。冒頭の田中絹代がジュリエッタ・マシーナに見えます。とにかくカメラワークが素晴らしいです。とぼとぼ歩く登場人物に対してカメラはダイナミックに動きます。木立の中を走り抜けるシーンや田中絹代が殿様の側室になることを両親に説得される場…

溝口健二監督作品 祇園囃子について

こんにちは。面白い映画でした。若尾文子は可愛いです。溝口健二をちゃんと観たのは初めてかもしれません。物語は勿論面白いのですがもっと良かったのはカメラワークです。人物の移動に合わせて動いたり挨拶に行くシーンの横移動のショットは特に良かったで…

森田芳光監督作品 家族ゲームについて

こんにちは。森田芳光は「黒い家」(1999)が好きです。「模倣犯」(2002)は一度だけ観て微妙だったのですが、「家族ゲーム」(1983)を観て考えが変わりました。僕は映画が持っている、というか隠そうとしているものを敢えて見せる映画が好きです。具体的…

大島渚監督作品 少年について

こんにちは。冒頭のひとりで鬼ごっこするシーンが好きです。1969年の高知市の映像が観れることも貴重です。Amazon primeで観たのですが途中で前のシーンの音声だけが重なるところがあって、これは少年の精神世界の描写で少年がそのことを思い返しているのか…

成瀬巳喜男監督作品 女が階段を上る時について

こんにちは。黒沢清がオールタイム・ベストで挙げていたから観ました。高峰秀子の演技を初めて観ました。当然上手いのですがこれで「銀座化粧」(1951)の田中絹代の複雑な感情を動きで表現する演出は、やはり成瀬巳喜男の映画の特徴だと分かりました。この…

成瀬巳喜男監督作品 銀座化粧について

こんにちは。成瀬巳喜男を初めて観ました。田中絹代の演技が上手いです。人間が持っている複雑な感情を動きで表現しています。また感情と反した動きをすることでその人間が持つ多面性というか懐の広さを表しています。これは成瀬巳喜男の演出の功なのでしょ…

キム・ジウン監督作品 箪笥について

こんにちは。スミ(イム・スジョン)が可愛いです。以前一度観ていてすっかり忘れて今回観ましたがやはり微妙な映画でした。伏線が伏線として機能していなくてもそれでも面白い映画というものはありますが、この映画の場合編集があまり良くありません。種明…

ナ・ホンジン監督作品 哭声について

こんにちは。アリ・アスターが「ミッドサマー」(2019)についてのインタビューで韓国映画を絶賛していて、中でもここ十年のホラー映画の中で一番好きだという「哭声」(2016)を観ました。確かに僕も近年の映画は黒沢清以外邦画をちゃんと観ていないことに…

リー・ワネル監督作品 透明人間について

こんにちは。やっぱり洋画サイコロジカルホラーは面白いです。アリ・アスターにしろダーレン・アロノフスキーにしろこの映画のリー・ワネルにしろ全員に共通するのはロマン・ポランスキーです。サイコホラーの父です。邦画ホラーは未だに幽霊ものが幅を利か…

千野皓司他監督作品 パパと呼ばないでについて

こんにちは。松本人志と高須光聖の「放送室」(2001)が好きでよく聴いているのですが、その中で松本人志が好きなドラマだと取り上げていたのがこの「パパと呼ばないで」(1972)です。3話まで観ました。まず1970年代初頭の恐らく東京であろう都会の町並みや…

ロマン・ポランスキー監督作品 オフィサー・アンド・スパイについて

こんにちは。ロマン・ポランスキーの映画は最も映画らしい映画だと思っています。使っている技法は何ら新しくない使い古された遠景、人物のアップ、人物の移動、POVショット、小道具のアップなどを組み換えているだけなのですが、それが視覚的に凄く心地良い…

ジョン・カサヴェテス監督作品 こわれゆく女について

こんにちは。率直な感想を書くとよく分からない映画でした。ここまで年代順に遡って新しい順番でジョン・カサヴェテスの作品を観てきたのですが、「こわれゆく女」(1974)で分からなくなりました。ですが分からないのであって、決して面白くない訳ではあり…

ジョン・カサヴェテス監督作品 オープニング・ナイトについて

こんにちは。同監督の「グロリア」(1980)をまた観ました。全編通して鏡が多用されていることと、改めて街を丸ごと使った逃走劇の面白さを感じました。流石に車がひっくり返るような場面はちゃんと段取りしていると思いますが、多くの場面は即興で演技して…

ジョン・カサヴェテス監督作品 ビッグ・トラブルについて

こんにちは。「刑事コロンボ」(1968)シリーズのピーター・フォークが主演しています。実は今日ジョン・カサヴェテスの有名なものをいくつかamazonで頼みました。その関連で観たのですが間違いなく娯楽映画であり、またずっと引っ掛かっていた黒沢清の「勝…

クロード・シャブロル監督作品 美しきセルジュについて

こんにちは。amazonでBlu-rayを頼みました。1959年の映画ですが、昔の映画は基本的に会話劇が中心に物語が展開していくので、現代の映画のように様々な飾り付けが無い素朴な印象を受けました。ヌーヴェル・ヴァーグっぽさはあまり感じませんでしたが、前衛的…

西川美和監督作品 すばらしき世界について

こんにちは。役所広司マルチバースがあるならば今村昌平の「うなぎ」(1997)や白石和彌の「孤狼の血」(2018)などに属する役所広司です。こういう役柄ははまり役です。関係ないことですが婦警役の山田真歩の演技が良かったです。劇団出身らしく見た瞬間び…

黒澤明監督作品 乱について

こんにちは。先日黒澤明のドキュメンタリーを観て触発されて観ました。感想を書くのが難しい映画です。映画を批判することは容易いのですが、古い映画をただ批判しても無益です。なので批判するにしても後に活かせるような有意義な批判を心掛けます。結論か…

ターセム・シン監督作品 ザ・セルについて

こんにちは。クリストファー・ノーランの「インセプション」(2010)や黒沢清の「リアル〜完全なる首長竜の日〜」(2013)、今敏の「パプリカ」(2006)などと同じというか、こっちの「ザ・セル」(2000)の方が先なので一体何処まで遡れば元ネタがあるのか…

イ・チャンドン監督作品 ペパーミント・キャンディーについて

こんにちは。時系列が遡っていくタイプの映画です。この映画は韓国の映画ですが同じアジアでも台湾ならエドワード・ヤン、香港ならウォン・カーウァイ、この流れで中国の映画監督の例を挙げようと調べていると、侯孝賢やアン・リーは台湾、チャウ・シンチー…

アリ・アスター監督作品 ヘレディタリー/継承について

こんにちは。アリ・アスターが気に入ったので借りてみました。この人はアンドレイ・タルコフスキーが好きなのでしょうか。映像が何となく似ているのと、ミニチュアの家や次作の「ミッドサマー」(2019)のラストが「サクリファイス」(1986)っぽいなと思っ…

ジャウム・コレット=セラ監督作品 エスターについて

こんにちは。ジャケット借りしたのでパッケージの紹介文を読んでいると、完全にリチャード・ドナーの「オーメン」(1976)の女の子バージョンだな、と思っていたら映画が始まって原題が「Orphan」だと知って同じイニシャルで更に確信に変わりました。ただの…

チャン・ジュナン監督作品 1987、ある闘いの真実について

こんにちは。韓国の民主化運動については無知だったのですが、調べてみるとこの民主化運動以前の韓国は事実上大統領の独裁政権のようなものだったらしいです。韓国の歴史は日本がもし大日本帝国のままで戦争を続けていればそうなったかもしれないもう一つの…

アリ・アスター監督作品 ミッドサマーについて

こんにちは。前から気になっていた映画でした。ホラー映画なのにやけに爽やかなジャケットで、明らかに異様な雰囲気がしていたからです。導入が凄く良くてこれから起こる不穏な予兆になっています。近年の映画を観ると圧倒的に洋画が面白いです。何というか…

エミール・クストリッツァ監督作品 アンダーグラウンドについて

こんにちは。TSUTAYAでレンタルして観ました。ジャケット借りしたので何となく内容をパッケージから予想していて、何となくフェデリコ・フェリーニっぽいなと思っていたら正にフェリーニでした。他の方の感想を読むと同じようにフェリーニを感じている方がい…

バーベット・シュローダー監督作品 ルームメイトについて Directed by Barbet Schroeder About roommates

こんにちは。何となくTSUTAYAで借りてみました。そして凄く面白かったです。僕は個人的にこの1990年代くらいの映画の映像の質感が好きです。本当に単純に映像が美しい映画です。そして冒頭の双子と鏡のショットと最後の繋ぎ合わされた写真のショットとの最初…