イ・チャンドン監督作品 ペパーミント・キャンディーについて

こんにちは。時系列が遡っていくタイプの映画です。この映画は韓国の映画ですが同じアジアでも台湾ならエドワード・ヤン、香港ならウォン・カーウァイ、この流れで中国の映画監督の例を挙げようと調べていると、侯孝賢アン・リーは台湾、チャウ・シンチージョン・ウーも香港でビックリしました。最近鶴田法男が中国で「戦慄のリンク」(2020)を撮りましたがやはり中国は未だに厳戒な社会主義国家らしく、どうやら幽霊を肯定的に描いてはいけないようです。本当に思いつく限りのアジアの映画監督を検索してみても悉く中国は入ってないのが少し面白いです。話が逸れましたが同じアジアでも国によって微妙に映像の質感が違います。この中でエドワード・ヤンだけは個人的に別格なのですが、そうでなくても台湾の映画は芸術性が高い印象があります。香港は娯楽性の高い映画が多い気がします。といっても上に挙げた映画監督の作品から連想して書いているので偏ってはいると思いますがおおよそそんな感じです。そして韓国はやはり韓流ドラマに代表されるような恋愛ものと映画の予告編を観ていて思ったのですが歴史ものも盛んに作られています。「ペパーミント・キャンディー」(2000)は一人の男が崩壊していく様子を遡っていく話です。列車はよく人生に例えられる乗り物ですがこの映画でも分かりやすくチャプターの頭に逆再生された列車の映像が挿入されています。使い方が合っているのか不安ですが所謂フィルム・ノワールのようなどうしようもない閉塞感が映画全体に流れています。Wikipediaで調べるとこの映画は1998年の韓国の日本文化開放後に両国で初めて取り組んだ作品らしいです。観ていて車とかの撮り方が北野武っぽいなと思ったら、その日本文化開放の一番始めに上映された日本映画は北野武の「HANA-BI」(1998)だったようで少なからず影響しているとは思われます。撮り方が美しい映画です。頭とお尻の展開が対応していてしかも最後の場面は時系列でいえば最も過去の時代の話の筈が台詞で懐かしい前にも来た気がする、きっと夢で来たのね、みたいな会話があってこれは完全に映画の冒頭のつまり未来の話をしていて、ここでも映画内映画的な演出が入っています。