森田芳光監督作品 家族ゲームについて

こんにちは。森田芳光は「黒い家」(1999)が好きです。「模倣犯」(2002)は一度だけ観て微妙だったのですが、「家族ゲーム」(1983)を観て考えが変わりました。僕は映画が持っている、というか隠そうとしているものを敢えて見せる映画が好きです。具体的にいうとセット撮影を本物の実景のように見せたり、日常の風景を忠実に再現しようとしたりするところです。それらを全て否定してこれは映画だ、というのがこの「家族ゲーム」です。

20230513

色々映画として面白い部分がありました。主人公の沼田茂之(宮川一朗太)の生理的な気持ち悪さを上回る吉本勝(松田優作)の空虚さが、どちらにも感情移入出来ない闘いを見るようで面白かったです。また非常に儀式的な食事シーンや会話シーンは誇張してはいるものの、我々日本人には思い当たる節もあってその辺りも面白かったです。松田優作のボソボソ喋る演技は本当にボソボソ過ぎて全然聴き取れませんでした。ラストの長いワンカットの文字通りちゃぶ台返しは所詮映画だからね、という表明に見えました。凄いのはここで映画は終わらずその先の家族の行末が暗示されるところまで描かれているところです。森田芳光面白いです。「模倣犯」もう一度観てみます。