成瀬巳喜男監督作品 銀座化粧について

こんにちは。成瀬巳喜男を初めて観ました。田中絹代の演技が上手いです。人間が持っている複雑な感情を動きで表現しています。また感情と反した動きをすることでその人間が持つ多面性というか懐の広さを表しています。これは成瀬巳喜男の演出の功なのでしょうか。映像のセンスがとても良いです。編集のテンポも完璧です。演技が上手いということはどういうことなのでしょう。例えばトム・ハンクスとか役所広司とかの演技は上手いです。でも何が秀でているのかよく分かりません。語弊があるかもしれませんが田中絹代もそれと同じタイプの俳優に属していると思っていて、突出したスター性は無いのですがとにかく日常動作が一々眼を惹きます。観察眼が鋭いのでしょうこの映画ならば少し年老いたクラブのママの生きてきた道程を感じさせるような、つまり男性の前で常に演技をしてきた女性を好演しています。「銀座化粧」(1951)に限らずですが終戦間もないくらいに撮られた映画には当時のバラック街がそのまま映っていて大変興味深いです。というかこの映画滅茶苦茶面白いです。どうしてこんなに昔の映画なのに面白いのでしょうか。あと子どもの走り方が可愛いです。人物のアップに若干紗が掛かっている気がします。ヒッチコックっぽいです。