クリント・イーストウッド監督作品 チェンジリングについて

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こんにちは。面白いです。主演はアンジェリーナ・ジョリーです。演技上手いですね。今、並行して「チャイナタウン」も観ています。ジャック・ニコルソンにもいえることですが、普段の演技が抜群に上手いです。この映画でのアンジェリーナ・ジョリーはキャリアウーマンで、仕事をテキパキこなしつつ、息子を育てている強い女性です。息子の行方不明から物語は転調します。よくできているなと思うのは、息子が本当に別人なのか、主人公のコリンズの思い込みなのか意図的にわからなくしているところです。コリンズが帰ってきた息子に対してベッドで話しかけるシーン、もし本当の息子なら結構ひどいことを言っています。息子は終始俯せたまま、表情が見えません。監督が本当の息子ではないことを観客に分からせたいのなら、その時の息子の表情を映します。最終的に別人だとわかりますが、この映画の結末と同じで真実は藪の中、という感じです。通底して沈痛な映画でした。警察機関の腐敗や、精神病棟、犯罪などが代わる代わる映し出されます。僕はこういう映画であまり感動しないのですが、この映画はあまりにも、コリンズの行動が報われず少し泣きそうになりました。クリント・イーストウッドの映画は「ヒアアフター」や「アメリカンスナイパー」もそうですが、重いです。黒沢清の「ヒアアフター」公開によせて、というインタビュー記事があるのですが、その中でクリント・イーストウッドスティーブン・スピルバーグの映像が似ている、という指摘がありました。僕もそう感じます。特に光と闇の演出が凄く似ています。

2021 1008
チェンジリング」という言葉の意味は取り替えらた子供、という意味らしいです。一日経ってみてやっぱり結構面白い映画だったな、と思います。殺人鬼がウォルターを本当に殺したのかどうか、という真相は我々含めコリンズも誰にも分からないことです。凡庸な映画なら結末を明示しそうなものですが、この映画ではラストのコリンズの叫びに答えはありません。取りようによっては最も残酷な結末、というかコリンズは永遠に息子を待ち続ける運命に囚われてしまった、ということです。