文学作品

楳図かずお 神の左手悪魔の右手について

こんにちは。「洗礼」(1974)が余りにも面白かったので続けて読みました。楳図かずおの歴史でいうと「わたしは真悟」(1982)の後に作られたのがこの「神の左手悪魔の右手」(1986)です。文庫本の1巻を読み終わりました。まずタイトルが格好良いです。そし…

楳図かずお 洗礼について

こんにちは。文庫本の1巻を読み終わりました。楳図かずおの歴史の中でこの「洗礼」(1974)は「漂流教室」(1971)の次の作品であり後に「まことちゃん」(1976)「わたしは真悟」(1982)といった作品の流れの中にあります。僕は何故か最初に「漂流教室」を…

吾妻ひでお 夜の魚について

こんにちは。メルカリで頼んで読みました。表題作の「夜の魚」が一番面白かったです。最近漫画の中で登場人物がセックスすることはその世界に登場人物を繋ぎ止めるためのアイテムだと感じます。何というか漫画ってそもそも虚構の世界なので例えば人間が死ぬ…

大島弓子 夏の夜の貘について

こんにちは。久しぶりに感動しました。僕の中の大島弓子の最高傑作は「ロストハウス」(2001)の「ジィジィ」(1994)でしたが今「夏の夜の貘」(1988)に変わりました。是非読んだことのない方は読んでほしいです。大島弓子の面白さを凝縮したような傑作短…

大島弓子 四月怪談について

こんにちは。今日メルカリで買ったのが届きました。表題作の「四月怪談」(1979)の他六篇の短編が入っていました。単行本だと年代順に掲載されているので特にそう思ったのですが「四月怪談」から後の作品と前の作品で絵が大きく違います。絵だけではなく話…

大島弓子 バナナブレッドのプティングについて

こんにちは。メルカリで大島弓子の「秋日子かく語りき」(1987)と「四月怪談」(1979)を頼みました。最近本を読んでいないなと思っていて漫画ですが今なら大島弓子の読んでいないものを読む良い機会だと思い頼みました。「バナナブレッドのプティング」(1…

岡本螢原作 刀根夕子作画 おもひでぽろぽろについて

こんにちは。高畑勲の「おもひでぽろぽろ」(1991)をまた観ていてやっぱり面白くてKindleで読みました。この原作の「おもひでぽろぽろ」(1987)は宮崎駿がまず読んで良いなと思っていたらしいのですがしかしこれを映画化するのは不可能だと考えていました…

楳図かずお おろちについて

こんにちは。鶴田法男の「おろち」(2008)を観てから逆説的に読みました。2巻までKindleで読みましたが1巻の衝撃が凄まじかったです。1巻は「姉妹」(1969)と「骨」(1969)という2篇から成っており「姉妹」は映画版にも使われた話の一つでしたがまず絵が…

小林聡美 マダム小林の優雅な生活について

こんにちは。小林聡美に嵌りました。実は昨日「ペンションメッツア」(2021)に役所広司が出演している事を知りこれはNETFLIXに入れという啓示だろうと重い腰を上げて登録手続を行いました。しかし月額料金の支払い方法で撃沈して登録出来ませんでした。なの…

常光徹 楢喜八絵 学校の怪談について

こんにちは。メルカリで頼んで届きました。小学校の時に図書館にあって熱心に読んでいた記憶があります。今読んでみると流石に怖くはないのですが巻頭にある常光徹の前書きが面白かったです。つまりこれはルポルタージュだったのです。当たり前といえば当た…

丸尾末広 アン・グラについて

こんにちは。面白かったです。主人公の出で立ちは完全に水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」(1965)の鬼太郎です。半自伝的な内容で恐らく丸尾末広が多感な10代の頃1960年代後半の全共闘の時代の空気感を幻想的に描いています。実在の人間も出ていて有名な永山…

土屋健 生命の大進化40億年史 古生代編

こんにちは。前回買った「古生物たちのふしぎな世界」(2017)が面白かったのでまた同じ著者のこの「生命の大進化40億年史 古生代編」(2022)を買いました。色々被っている部分があるのですが、逆に被っている方が覚えやすいので良かったです。また細かいで…

土屋健 古生物たちのふしぎな世界について 

こんにちは。古生物について知りたくて買いました。個人的に面白かったカンブロパキコーペを上に貼りました。古生物のフォルムは少し近未来的です。未来と過去は同じ、ということはつまり歴史は円環であるという証明です。これは当たり前のことかもしれませ…

阿澄思惟 禁祀:occultについて

こんにちは。本を読んでいて久しぶりに滅茶苦茶怖かったです。僕は考察とかは出来ないのでこの作品が何処までフィクションでなのかは解りませんが、気になった言葉を調べるとちゃんとインターネットに情報があって、まあそういう手法なので当たり前ですがこ…

楳図かずお わたしは真悟について

こんにちは。「漂流教室」(1972)が面白かったのでamazonで頼みました。Wikipediaや巻末の呉智英の解説でかなりハードルが上がったのですが、1巻を読んだ感想は絵が少し崩れている気がしました。この「わたしは真悟」(1982)は「漂流教室」から10年後に描…

トーマス・オット R.I.P.について Thomas Ott About R.I.P.

こんにちは。トーマス・オットはあまり日本には居ないタイプの漫画家です。日本でこういうダークな作風というと、どうしてもアングラ、エログロナンセンスみたいな方向に行きがちですが、このトーマス・オットは調べてみるとどうやら映画を学んでいたらしく…

志村貴子 わがままちえちゃんについて Takako Shimura About Wagamama Chie-chan

こんにちは。志村貴子は「放浪息子」(2002)、「娘の家出」(2014)とかを読んだことがあります。変な言い方ですが少女漫画の進化形みたいな漫画です。この人に限らず古今東西、昔ならば大島弓子でもそうですが何故少女漫画ではLGBTが好まれるのでしょうか。漫…

楳図かずお 漂流教室について Kazuo Umezu About Drifting Classroom

こんにちは。初めて楳図かずおの漫画を読みました。「ガキの使いやあらへんで!!」とかに出演している楳図かずおは観たことがありますが、正直こんなに凄い人だったのかと思いました。まだ1巻しか読んでいませんが、感想を書いておきます。この漫画は1972年…

大白小蟹 うみべのストーブについて Ooshiro Kogani About the seaside stove

こんにちは。刊行されたのが2022年だと知って少し嬉しかったです。最近の漫画家でこんなにもセンスの良い人が居たということが嬉しいのです。何処となく高野文子っぽい感じもします。この方について調べてみたのですが本当に最近デビューされたらしく、あま…

杉浦日向子 百物語について Hinako Sugiura About Hyaku Monogatari

こんにちは。最近ホラー小説家の朱雀門出のYouTubeチャンネルをよく観ていて、古典怪談の面白さ、特に中国の代表的な志怪小説である干宝の「捜神記」、蒲松齢の「聊斎志異」、紀昀の「閲微草堂筆記」などにとても興味があります。古典怪談にはその当時の世俗…

マリコ・タマキ作 ジリアン・タマキ画 THIS ONE SUMMERについて Works by Mariko Tamaki Drawn by Jillian Tamaki About THIS ONE SUMMER

こんにちは。例外的に図書館で読みました。僕は読みたい本は大体買って読むのですが、図書館でふと手にとってお、これ凄いなと思って一気に読みました。こういう作品のことをグラフィックノベル、と言うのかと思い言葉の意味を調べてみると、何やらややこし…

内田善美 星の時計Liddellについて Yoshimi Uchida About Star clock Liddell

こんにちは。メルカリでゲットしました。今や絶版になっている本書はかなり稀少価値が高いようです。ですが絶版、という言葉は最早死語なのかもしれません。実際僕はこうして手に入れられた訳で、それは嬉しいことなのですが、恐らく稀書コレクターには退屈…

エドワード・ゴーリー 不幸な子供について Edward Gorey about The Hapless child

こんにちは。エドワード・ゴーリーは「ネバーエンディングナイトメア」(2014)というゲームのグラフィックがこのエドワード・ゴーリーの絵柄からインスパイアされて制作されたことから知りました。実は以前からamazonのホームに「うろんな客」(1957)が出…

鳥山明 Dr.スランプについて Akira Toriyama About Dr. Slump

こんにちは。鳥山明は「ドラゴンボール」(1984)が有名過ぎてこちらの「Dr.スランプ」(1980)が忘れられがちですが僕は絵としてはこちらの方が好きです。言うまでもなく上手いのですが本当に嫌味なく上手いというか正直言えばこんな感じに憧れています。毎…

ひさうちみちお 託卵について Michio Hisauchi About egg custody

こんにちは。ひさうちみちおの代表作です。1988年から1990年にガロで連載されていました。「日本短編漫画傑作集5」にひさうちみちおの「山本さんのおじいさんの場合」が載っていてそれからまたひさうちみちおが気になりだしてamazonで購入しました。ストーリ…

太宰治原作 伊藤潤二漫画 人間失格について Original work by Osamu Dazai Drawing by Junji Ito About No Longer human

こんにちは。amazonで注文して読みました。原作となる太宰治の「人間失格」は1948年に書かれました。僕はこの辺りの、特に明治から大正、昭和初期くらいにかけての文学に疎く、今回改めて調べ直しました。例えば夏目漱石は明治から大正に活躍した作家で、芥…

高野文子 いずみさん、とつておいてはどうですかについて Fumiko Takano About why don't you keep

こんにちは。amazonで何となく欲しい物を見ていると高野文子の新しい本が出ていたので買ってみました。本の内容はともかく僕が気になったのは、子供が書いた文章の持つ力です。一番分かりやすいのは交通安全の標語とか、詩とか川柳でもわざと子供のような口…

亜樹直原作 ひきた美幸漫画 学校の怖い噂について Nao Aki's original manga by Miyuki Hikita About scary rumors at school

こんにちは。初めてメルカリを使って手に入れました。そしてつくづく幼い頃の記憶は当てにならないものだと思いました。僕が強烈に覚えていた「ナメクジおばさん」も全く僕が思っていた話とは違っていて、何故子供の頃そんなに恐怖を抱いたのか、今となって…

今敏 OPUSについて Satoshi Kon About the OPUS

こんにちは。はてなブログのレイアウトが変わって書きづらくなりました。実はまだちゃんと読んでいないのですが、絵をパラパラと見ていて思ったことを書いてみます。この「OUPS」(1995)は今敏が絵を押井守が原作を担当した「SERAPHIM 266613336WINGS」(19…

つげ義春 ねじ式について Yoshiharu Tsuge About screw type

こんにちは。実はつげ義春は好きなのですが、「ねじ式」(1968)はあまりにも有名すぎてちゃんと通して読んだのは今回が初めてです。つげ義春が見た夢を描いた、という漠然とした知識はあって、その印象からいうとそこまで支離滅裂でもなく、所々台詞がおか…