吾妻ひでお 夜の魚について

こんにちは。メルカリで頼んで読みました。表題作の「夜の魚」が一番面白かったです。最近漫画の中で登場人物がセックスすることはその世界に登場人物を繋ぎ止めるためのアイテムだと感じます。何というか漫画ってそもそも虚構の世界なので例えば人間が死ぬにしても全部嘘な訳です。実写映画ならば出てくる人間は本当の人間ですから嘘にしても死ぬという現象にリアリティがあります。だから漫画では登場人物が死ぬことやセックスすることによってその世界に厚みを持たせることが出来ます。しかし吾妻ひでおはそのリアリティを持たせる筈の行為を儀式的に描くことでそれすらも裏切っています。個人的な話ですが僕も漫画を描いています。年齢と共に部屋の中で恋人同士が話している場面とかを描いているとその先にセックスを描かないと嘘のような気がしてきました。これは明らかに以前は無かったことで自分でも驚いています。「夜の魚」に載っている話も大体最後はそれで終わります。それは非常によく分かります。別にエロいものを無理矢理入れようとか思う訳でなく自然にそうなるだろうというかそうしないと話が終われないだろうという思考に変わりつつあります。それと絵は上手いです。