最近考えていること

こんにちは。三隅研次の「斬る」(1962)を観ました。市川雷蔵の演技を初めて観ました。付けまつげなのか分かりませんがまつげが長かったです。この映画は71分と短くまた始まりから終わりまで格好良い映画でした。今観ると変な感じなのですが1962年とは思えないようなモダンな時代劇でちょっとヌーヴェル・ヴァーグに似ているなと思いました。曇天の切合や武家屋敷を天井から俯瞰で捉えたショットなどは普通の時代劇では見れないもので面白かったです。切合で血が出ないのに倒れた人間からは血が出ているのは映倫の関係で直接人間から血が出るのが駄目だったのでしょうか。ただ初めの方に出て来た市川雷蔵の妹役の人があまり演技が上手くありませんでした。最近油絵を描いています。結構楽しいです。油絵は一度描くと2〜3日待たないといけないのですがそれもまた絶妙な時間です。今フェデリコ・フェリーニの「カサノバ」(1978)を観て途中で止めています。僕がフェリーニに感じていたイメージはもっと夢と現実が混じって長回しを使うイメージだったのですがそれは恐らく僕が勝手に作った幻想でした。流石にフェリーニの映画は簡単に理解させてくれないようです。何というか前衛的と言えばそうなのですが所謂芸術という格調高さが無くかといって通俗的かと言えば全くそうではない映画です。1つあるのは演劇です。演劇を映画にしたらこうなりましたみたいな映画です。海のシーンで明らかにあれは素材は何か不明ですが海に見立てたビニールみたいなシーンがあってやっぱりこれは演劇なのかなと思いました。セックスのシーンの表現で主人公が画面を上下に運動するのが何度も使われています。これは多分意味があると思います。そういえば以前「サテリコン」(1969)を観たときもこんな気持になっていました。でも「サテリコン」では終始画面の中の意味が渋滞しているイメージでしたが「カサノバ」は最初の祭りのシーン以降は話は案外分かりやすい感じでいや意味不明なところは沢山ありますがやっぱり観ている間これを撮っているフェリーニの頭の中を想像してしまう映画です。