大島弓子 夏の夜の貘について

こんにちは。久しぶりに感動しました。僕の中の大島弓子の最高傑作は「ロストハウス」(2001)の「ジィジィ」(1994)でしたが今「夏の夜の貘」(1988)に変わりました。是非読んだことのない方は読んでほしいです。大島弓子の面白さを凝縮したような傑作短編です。つまり大人が子どもになるまた子どもが大人になるような非現実さを視覚化して物語を成立させる才能があるということです。絵も完璧です。最低限の描き込みで非常に効率的に描いています。大島弓子の話は実は「四月怪談」(1979)にしろ「雛菊物語」(1980)にしろ「ジィジィ」にしろ全て同じような構成なのですがやはり映画的だと思うのは場面をころころ変えることで飽きさせず作品世界の時間の流れを感じさせることが出来ています。大島弓子の面白さは一言で言えばギャップです。とても可愛い女の子が強い言葉を使ったり子どもが大人のような言葉を使ったり現実の力関係が反転する面白さです。そして使う言葉が美しいです。この作品も文書だけで恐らく成立するのではないでしょうか。うーん大島弓子恐るべしです。