大島弓子 四月怪談について

こんにちは。今日メルカリで買ったのが届きました。表題作の「四月怪談」(1979)の他六篇の短編が入っていました。単行本だと年代順に掲載されているので特にそう思ったのですが「四月怪談」から後の作品と前の作品で絵が大きく違います。絵だけではなく話も「四月怪談」から格段に面白くなります。「ローズティーセレモニー」(1976)「きゃべつちょうちょ」(1976)「ページワン」(1978)は所謂普通の少女漫画です。どちらかといえば僕は苦手な部類の漫画です。しかし何があったのか「四月怪談」から絵がスッキリして設定がそもそも変わりました。大島弓子は身近な出来事を少女の目線を通して多少ポエミーな台詞で語るのが上手いです。「四月怪談」以前の作品ではそのポエミーな要素が強く話も恋愛中心だったものが「四月怪談」以後はその2つが良い塩梅に薄れて絵の中の登場人物の目のハイライトが無くなり少しポエミーな台詞と表情のクールさで物語のバランスが取れた印象があります。「雛菊物語」(1980)もそのバランスです。「桜時間」(1982)は冒頭の内語からグッと引き込まれました。また「四月怪談」以後は絵が上手くなっています。恐らく描けることが増えて一番楽しかった時期ではないでしょうか。この面白さは何なのでしょうか。最も近い表現は映画的になります。また僕が男なので少女の考えることが新鮮だということもあります。