すいかについて

こんにちは。このドラマにおける疑似家族の関係は大島弓子の「バナナブレッドのプディング」(1977)や吉本ばななの「キッチン」(1988)などの影響を感じます。またハピネス三茶の住人たちの世代間が20代から60代まで広く跨っていることは「やっぱり猫が好き」(1989)に似ています。どちらのドラマにも共通するのは女性の思い描く桃源郷のような世界であるところです。僕は男なので本当のところは分かりませんが女性同士の関係は男性よりも社会性があり生物学的にも姉は妹の母親役になるように女性だけの世界はそれだけで独立出来る面白さがあります。ハピネス三茶の住人たちに血縁関係が無いことを触れているブログがありましたがそれは主人公の早川基子(小林聡美)が母親(白石加代子)に見せる本音と外の世界に見せる建前のギャップに悩んでいる様を見せたかったからだと思います。ドラマの作劇上もその方がお互いの自己紹介などから入ることになり関係性が深まる様子も描けます。その点で言えば「やっぱり猫が好き」の特殊性に驚きます。「やっぱり猫が好き」は三姉妹であるにも関わらずあの手この手で話を展開させています。そして一番凄いところは全てが下らないところです。最近気付いたのですが「やっぱり猫が好き」を観ていて面白いなと思った作品は大体三谷幸喜が作ったものでした。三谷幸喜は恐らく外国の喜劇とかから影響を受けていると思われますが何度も書きますがジョン・カサヴェテスに似ていると思います。近年の作品はどうか分かりませんが少なくともこの頃は黒沢清が語る「娯楽でも芸術でもない」作品を作っていたのだと思います。「すいか」(2003)に戻ります。崎山夏子(浅丘ルリ子)のキャラクターがかなり良いです。登場シーンが厳しい女教師でしたがものの数分でトボけた教授になるところも良かったです。あとハートマークの土の跡に矢を射るという直截的な愛の表現がありました。こういうのも好きです。