井筒和幸監督作品 ビッグ・ショー! ハワイに唄えばについて

こんにちは。井筒和幸の作品を初めて観ました。以前から存在は知っていてピンク映画から商業映画監督になったことも知っていたので流石に映画が上手だなと思いました。何か最近はドラマとかばかり観ていたので久しぶりに良い映像をちゃんと観た気がします。前作の「のど自慢」(1998)を観ていないのですが問題なく観れました。まず撮影が素晴らしいです。ホテルにしても街中にしても凄く丁寧に撮られています。今調べると井筒和幸アメリカン・ニューシネマから影響を受けたらしく何処がどうという訳ではありませんがロマン・ポランスキーの「フランティック」(1988)とかジョン・カサヴェテスの「ビッグ・トラブル」(1986)とかに似ています。「ビッグ・トラブル」については須貝照男(尾藤イサオ)が単純にピーター・フォークに似ていたりタイトル自体も似ていることから意識したのではないかと思います。作品を観ているというそれを作った監督が映画を沢山観ているかどうかは絶対分かります。冒頭のFAXのシーンから何気ない会話シーンでもああこの人は絶対映画が好きな人だなということは分かります。映画的な要素とでもいうのかジョー坂上加藤茶)のような胡乱な人間や赤城麗子(室井滋)が機関銃を撃ったりヘリコプターが野球場に着陸したりする飛躍が何とも絶妙に映画を豊かにしています。何をやっても失敗していた人間がラストに向かって成功していく典型的なサクセスストーリーではありますがあのホームパーティーでの挨拶はそれまでの室井滋の失敗のフリがあるからこそあんなに感動的に映えます。正直あのシーンは相当感動しました。そして都はるみとのセッションシーンも良かったです。室井滋の演技は「やっぱり猫が好き」(1988)を観ても分かるように非常に素直でだからこそ泣いているときは本当に悲しいから泣いているのだということがこちらに伝わります。まだ観ていないですが「のど自慢」も観ます。というか井筒和幸をもっと観ます。