水島総監督作品 いのちの誘拐について

こんにちは。ニコニコ動画で観ました。室井滋の狂人役を初めて観ましたが予想以上に凄かったです。地がコメディっぽいからこそその振り幅で余計に恐ろしさが増します。そして相手役の佐野史郎の無機質な演技も素晴らしいです。ビデオ作品の狭い画角にさらに狭いアパートの狭い室内の二人は本当に哀れというか救いようがないというか絶望そのものです。今室井滋のエッセイを読んでいるのですが彼女は学生時代に相当映画を観ていたらしくジョン・カサヴェテスの「グロリア」(1980)についての発言もあったので多分そうだと思うのですがこの狂人のモデルは「こわれゆく女」(1974)のジーナ・ローランズだと思います。そしてこの話自体何処かで観たことがある気がしていたらそれは今敏の「東京ゴッドファーザーズ」(2003)でした。制作が関西テレビ関西テレビは確かに相当攻めたテレビ局だったようですね。ビデオ作品だからなのか病院でのワンカットも自主映画的な匂いがして映像も全体的に閉鎖された鬱屈した雰囲気があってとても好きです。室井滋はもっと狂人を演じるべきでした。もう年齢的に難しいとは思いますがそれぐらいこの室井滋はハマっています。