常光徹 楢喜八絵 学校の怪談について

こんにちは。メルカリで頼んで届きました。小学校の時に図書館にあって熱心に読んでいた記憶があります。今読んでみると流石に怖くはないのですが巻頭にある常光徹の前書きが面白かったです。つまりこれはルポルタージュだったのです。当たり前といえば当たり前ですが当時の小学校の小学生から聞いた話を脚色して書いている訳で完全な創作では無かったのです。でも小学校時分の僕がそんなことを思いながら読んでいる訳もなく純粋に怖い話として読んでいました。また楢喜八の独特な挿絵も好きでした。この本の初版は1990年で一番オカルトが隆盛していた頃です。だからこそバラエティに富んだ様々な話があります。僕もまだ5巻しか持っていないのであと5巻をどうにか手に入れたいです。

20230605

飛び飛びで1巻4巻5巻6巻7巻と持っているのですがあとがきの常光徹の文章が面白いです。具体的に言うと全国的に同じ様な話が広まっていることや妖怪や幽霊の正体が勿論インターネットなども普及していない時代のことですから学校という子どもなら誰でもよく知っている共通認識から生まれた創造力だと書いています。非常に客観的に分析していて常光徹民俗学者で恐らく柳田國男の影響を受けていてそういう下地の基に作られた本だからこそただの子ども向けの本に収まらない面白さがあります。この面白さは「ほんとにあった怖い話」(1999)にも通ずるルポルタージュっぽさに関係があります。僕は子どもながらに多分Y男とかS子などのイニシャルをぼかしていることにこれはひょっとして本当のことなのかと恐怖していたのだと思うのです。このイニシャルをぼかすのは今やチープ過ぎて誰もやらない手法だと思いますが今やったら逆に新鮮で良いかもしれません。それから1話が短いからでしょうが1巻に入っている話の多さが僕は好きでした。