阿澄思惟 禁祀:occultについて

こんにちは。本を読んでいて久しぶりに滅茶苦茶怖かったです。僕は考察とかは出来ないのでこの作品が何処までフィクションでなのかは解りませんが、気になった言葉を調べるとちゃんとインターネットに情報があって、まあそういう手法なので当たり前ですがこの参加型の読書を考え付いたことが素晴らしいです。読んでいてアリ・アスターの「ミッドサマー」(2019)を思い起こさせる記述が多くあり、この本が刊行されたのが2021年なので阿澄思惟が影響を受けた可能性も無くはないのですが、もっとロマンを感じるのはこういったフォークロアが世界で同時多発的に起こっていると考えることです。こういう民間伝承は本当に面白いです。僕は住んでいる地域柄そういったものに触れやすいこともあり、凄く興味深いです。日本語には悉く当て字が存在していてその由来が神話にあることも面白いです。いや本当に最近こういうシャーマニズム系の作品を観ていて感じるのは、本気で幽霊とか魂とかのメカニズムが明らかになる日がくるかもしれないと、実は灯台下暗しで我々の先祖が遺したお伽噺の世界が本当に存在していたのかも、と思ってしまいます。民話は教訓を教えるために変容して現代に語り継がれていますが、その原本はそれがウイルスによる精神異常だとしても、それを体験した人間にとっては現実でありそれはこの本が採っている映画でいうモキュメンタリーのような、何処までが創作で何処までが真実なのか解らないというこれも本の中であったフラクタル構造になっています。凄いですね。やはり映画にしても本にしても突き詰めるとその媒体が持っている特性に対しての、本質の話に還元するのでしょうか。ちょっとこういう分野が面白過ぎて困っています。今まだ全て読んでいないのですが話題になっている「近畿地方のある場所について」も読みかけていて、オカルトが楽しいです。本の中の言葉を借りるならば外の世界の広がりと同じくらいに自己の内の世界にも広がりがあるのだと、だからオカルトは面白いのだと思います。