宮崎駿監督作品 崖の上のポニョについて

こんにちは。「君たちはどう生きるか」(2023)が「崖の上のポニョ」(2008)に似ていたような気がして観たのですが全然違いました。前に観たときは物語の整合性ばかりが気になってあまり好きではなかったのですがこれまた今回観直してがらっと評価が変わりました。まず配色が素晴らしいです。特に暗い海の中で輝くグランマンマーレは良かったです。そしてアニメーションも実験的で観ていて楽しかったです。そしてリサのキャラクターが非常に魅力的です。多くの人が言及していますが僕もリサは好きです。それから観ていて楳図かずおの「わたしは真悟」(1982)に話が似ている気がしました。何となくなのでどこがどうという訳ではないのですが「わたしは真悟」だと機械が生みの親であるまりんとさとるに会うためなら世界を滅ぼしてでも会おうとする狂気がポニョにも通ずるものがあると思ったからでしょうか。ポニョが実に楽しそうに津波を走るシーンには薄ら寒さを覚えました。本当に宮崎駿は人間が滅んだ方が良いと思っているんだなと思いました。それからこれは僕の勘違いかもしれませんが映画の中盤あたりポニョが宗介の家で眠るシーンがあります。宗介かリサかどっちかがポニョ眠ったねみたいな台詞があってそこから背景のリアリティのレベルが上がったような気がしました。でもまたすぐにポニョが起きて「パンダコパンダ 雨ふりサーカス」(1973)みたいな世界になっているのでまたリアリティのレベルが下がります。だからこの世界はポニョが起きている時は絵のリアリティが絵本みたいなくにゃっとした線になるのかなと思いました。あと初めてポニョが喋るシーンはあれは宗介の想像というかそう聞こえて欲しいというような演出がされていました。