マキノ雅弘監督作品 日本侠客伝 浪花編について Directed by Masahiro Makino About Nihon Kyokyakuden Naniwa Edition

こんにちは。マキノ雅弘蓮實重彦とか黒沢清とかの発言で、ちょいちょい名前が出てきていて、何となく気になっていた存在でした。この「日本侠客伝」(1964)シリーズは高倉健主演で、丁度高倉健の演技を観てみたかったこともあり、TSUTAYAで借りました。また八千草薫が出ていることも借りた理由のひとつです。これはシリーズ二作目で、僕は一作目の「日本侠客伝」も観ましたが、マキノ雅弘の映画の特徴というかフィックスの画面が少なく、どんな画面にもカメラワークがあることが特徴です。これは僕がこの映画の前に小津安二郎の「彼岸花」(1958)を観たことも関係しているかもしれませんが、ショットの頭に何かを映してそれを引いて全体を撮る方法が特に多いと思いました。そして近年のスティーブン・スピルバーグの映画のようでもあるように感じます。つまりこの撮影方法はとてもモダンな印象があります。それと三組の男女が物語の中心になること、高倉健演じる役が初めは礼儀正しく、静の演技をするのですが、あるところから動の演技に変わること、などがシリーズを通しての特徴です。晩年の高倉健降旗康男鉄道員」(1999)などの静の演技の印象が強いのですが、この頃は当然若いですから、アクションシーンもちゃんと動いています。また長門裕之の演技が典型的な三枚目の演技なのですが、それも良いです。そして八千草薫大阪弁がとても可愛いです。関係ない話ですが、「彼岸花」でも山本富士子演じる幸子の流暢な京都弁が映画のトーンを形作っているように、方言は映画においてリアリティを持たせることもそうですが、日本人としての親近感を覚えることの手助けにもなっている気がします。