鶴田法男監督作品 案山子について

こんにちは。amazon primeビデオで観ました。沢山の人間が無言でこっちを見ているシーンを観ていてジョン・カーペンターっぽいなぁと思っていたら鶴田法男のインタビューでズバリジョン・カーペンターの名前が出てきて驚きました。この映画の結末は最近観た根岸吉太郎の「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」(2009)と同じく破滅的な運命を主人公が享受するという点で似ていました。インタビューでも触れられていましたが日本のホラーにおいてこういう村の因習を扱ったものはあまり見ません。海外でも最近だとアリ・アスターの「ミッドサマー」(2019)とかはその成功例だと思いますが日本では映画ではなくインターネットにおける洒落怖のような文章面において因習の恐ろしさを扱ったものが多い気がします。鶴田法男の特徴的な画面の後ろで幽霊が横切るまたは佇んでいるみたいな演出はやはり凄いです。それから冒頭の字が揺れた不気味な手紙とか行方不明の張り紙とか気持ち悪いアイテムが散り散りに出てくるのも良かったです。全体的には低予算映画ですが所々で良い映像があって案山子が一斉に動き出すシーンとか幽霊の髪とマフラーが吹き荒れるシーンとかスピルバーグ作品のような幻想的な照明とラストの直裁的なトンネルの出口と入口を彼岸と此岸に見立てて彼岸に向かう主人公などは観応えがありました。