松本佳奈監督作品 マザーウォーターについて

こんにちは。撮り方が溝口健二っぽいです。具体的に言うと長回しと俳優の顔のアップどころかバストショットすらもありません。クレーンショットではないだけでフィックス版の溝口健二です。このストーリーがない作り方は恐らく完全に日常生活の一部を切り取って映画に出来ないかを模索した結果こうなったのだと思います。それからもう一つ面白かったのは主役の四人の女性は全員子どもが居ないことです。偶然かもしれませんが子どもが居ない女性に子どもを持たせることでのミスマッチ感覚を楽しんでいる気がしました。もたいまさこはこういう強引な役をもっと演じて欲しいです。タイトルの「マザーウォーター」(2010)とはお酒の仕込み水のことらしいです。何となく映画の内容とも触れ合っている秀逸なタイトルだと思います。この映画を評価するのは難しいです。僕としては非常に前衛的な試みで良いと思いますがそう観なければただの意味のない会話の堆積です。