宮崎駿監督作品 千と千尋の神隠しについて

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こんにちは。この作品も小さい時に観たきりで、久しぶりに見返しました。終始宮崎駿っぽくない映画だな、と思いながら観ていました。神隠しというタイトルなので、千尋が体験した出来事は夢の世界であることは分かります。それは分かるし、夢の世界の支離滅裂な感じ、予め何故か設定が決まっていて、自分もそのことに対して何も疑問に思っていない感じを表現していることも分かります。でも観ていて僕は頭にクエスチョンマークが残る場面が多かったです。千が初めて仕事を任された河の神の下りも、何故湯婆婆が急に認めてくれたのかがよくわかりませんでした。ハクの性格も男の僕から見れば、あまりいけすかない男という感じでした。このハクが成長してハウルになるのでしょう。魔法使いの弟子という設定も同じですね。そしてこの作品の発展形が「崖の上のポニョ」になるのでしょう。オープニングから久石譲の「あの夏へ」という僕が好きな音楽がかかって、切ない雰囲気でタイトルバックが入ります。ストーリーは夢の世界なのできちんと繋がっていません。数珠つなぎのように、千尋の起こした行動によって手に入れたものが次の展開のキーアイテムになります。この辺りは小さい時には気付きませんでしたが、今観るとおかしいです。しかしこういうことは普通伏線というものを使って、話を違和感のないように出来るものですが、敢えてそれをしていないように思います。千尋に感情移入するように作られているので、小さい子どもはストーリーの整合性よりも、ハクが助かるのかどうか、に関心が行きます。アニメーションは今観るとそこまで凄いアニメーションはありません。でも魔法のアイデアや、湯屋の内部の構造などで映像は補完されています。他にも魅力的な映像が沢山ありました。今作では宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を映画でやろうとしたらしく、海を走る電車はそこから発想している感じがしました。湯屋のデザインは擬洋風建築というもので、明治時代に作られた従来の日本建築に西洋の建築方式を取り込んだ建築です。何故この映画が爆発的にヒットしたのでしょうか。完成度でいえば「天空の城ラピュタ」のほうが高いと思いました。観ながら変な映画だな、とずっと思いながら観ました。ラストの尻切れとんぼのような終わり方は、千尋があのトンネルを抜けた瞬間に全て忘れたことを表現しているように思いました。