ロマン・ポランスキー監督作品 水の中のナイフについて

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こんにちは。関係ないですがロバート・アルドリッチの「悪徳」も観ました。舞台の話を下敷きにしているらしく、主に室内の会話劇で物語が展開していきます。舞台を映画のようなカット割やアップや引き、カメラのパンなどで撮ったら、こうなるだろうという作品でした。アルドリッチは「キッスで殺せ!」が観たいのですがTSUTAYAの何処にもないのです。「水の中のナイフ」不思議な映画でした。冒頭、二人の男女がひたすら車で何処かに向かっています。遠くに青年が見えます。遠くにいるのに何故かクラクションを鳴らしその青年を拾います。車内で青年はヒッチハイクの為にいつも車の前に出ていることを話します。この偶然出会った3人が何故かボートで旅をすることになります。唐突です。この映画はやはり登場人物が映画の世界を認識しているような気がします。ストーリーも別におかしいところはありませんが、何故この3人がボートで旅をしているのかは分かりません。理由があるとすれば映画を成立させるため、ということになります。アンジェイと青年は同じ人物です。青年が成長した姿がアンジェイだというのは台詞でも出てきますし、アンジェイが怒って泳いで車に帰った時に青年がアンジェイの服を着て、クリスティーナと寝るシーンでわかります。ナイフで遊ぶ度胸試しのシーンは見ていて冷や冷やします。片目で見て対象がずれる、という子供のころやった遊びが視覚化されているのも面白かったです。ラストは結局警察に行ったのか、行かなかったのか車は分かれ道で止まったまま映画は終わります。登場人物が3人しかいないのも凄いですね。本当に一切画面に他の人物が出てきません。あと音楽がお洒落でした。