増村保造監督作品 妻は告白するについて

こんにちは。久しぶりに増村保造を観ました。1961年に制作されたようです。同年に小津安二郎は「小早川家の秋」(1961)を撮っています。僕の増村保造のイメージは最初に観た「青空娘」(1957)でカメラが大胆に動く活劇という感じでしたが本作は法廷ものでカメラはあまり動かなかったです。でも保険金で買ったアパートに入る時のカメラワークとか凄かったです。そして画角が狭いような気もしました。全体的に演技は決して上手ではありません。一番恐かったのは若尾文子が無罪が決まった後に死んだ旦那の仕事仲間の川口浩に毎晩あなたの夢を見るのと告白するシーンです。「赤い天使」(1966)と同じくメロドラマでも何というか突き詰めると狂気に等しいものがあってヒヤッとなりました。

20231227

特典映像で若尾文子が当時を振り返って話しているのですが驚いたのは撮影初日にクライマックスのシーンを撮っていたということです。映画業界ではよくあることらしいのですが気持の繋がりとかどうやったのでしょうか。タイトルが良く出来ていて妻とは若尾文子川口浩の妻の馬渕晴子の2人を指しています。台詞でもありましたがこの2人はある種同一人物とも取れるような節があります。あと終わり方が凄く良かったです。