杉浦日向子 百日紅について

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こんにちは。杉浦日向子は丁度江戸時代のことを調べているときに出会った作家です。一番初めに読んだのは「一日江戸人」でした。簡単でわかり易く江戸時代の町の雰囲気を上手く伝えていて、すぐに好きになりました。江戸時代の日本は当時世界で一番の人口の都市だったそうで、町人の文化などが栄えていました。当時は鎖国をしていて外国からの侵略もほとんどなく、戦国時代が終わり太平な世の中で国風文化が育まれ、今日の日本の基盤となりました。最近落語を聞くようになって余計に江戸時代のことを考えるようになりました。江戸っ子といえば粋で野暮なことが嫌いです。そういう気風の町だったので、自然と物語が産まれやすかったのだと思います。さて「百日紅」は初めて知ったのは原恵一の映画「百日紅」でした。映画の方は率直にいうと微妙だったのですが、今となっては少し見返したい気持ちがあります。そしてそこから杉浦日向子の「百日紅」を読みました。絵はあまり上手くありません。しかしそこは別に気になりません。葛飾北斎と娘のお栄が主人公です。読んでいて思うのは、錦絵や浮世絵のような世界観を切り取って物語を
作っていることです。元々日本は物を立体でなく平面で捉えてきた歴史があるので、だからこそ鳥獣戯画北斎漫画のような線の面白さに重きを置いた独自の発展を遂げました。今調べると、杉浦日向子は「ガロ」で22歳の時にデビューしています。時代考証からマンガの世界に入ったので他と違うアプローチができたのでしょうね。46歳で早逝しましたが、生きていたらもっと作品を発表していたかもしれません。気持ち悪い偶然ですが今敏も46歳で亡くなっています。才能のある人は人生を他人の何倍かのスピードで生きているので仕方ないですが、勿体無いです。 

2021 0929
お江戸でござる」というコメディ時代劇で初めて杉浦日向子が喋っているのを見ました。時代劇の設定についての正誤を終わった後に解説してくれる、という構成になっていてとても面白かったです。