大友克洋監督作品 スチームボーイについて

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こんにちは。「AKIRA」でも「MEMORIES」でもなく「スチームボーイ」です。大友克洋ニューウェーブの一人ですが、そのなかでも一番日本の漫画界に影響を与えたのではないでしょうか。手塚治虫が築いた漫画のスタイルを壊したのは大友克洋でしょう。大友克洋の作品の感想を書くのは難しいです。大体絵が描ける人間の書く物語は話よりも絵のイメージがメインなので、ストーリーはあとから出来ることも多いようです。今見終わったのですが、変な映画です。安直につまらない、と言ってしまうこともできますが、なにか引っ掛かります。まずレイ、エドワード、ロイドの三人の親子関係です。何故この三人は血縁関係にある必要があるのか。この映画はレイが様々な大人に出会い、科学が何のためにあるのかを知る物語です。レイとスカーレットの姿見のシーンも何故必要だったのでしょう。一応、スカーレットの母親の話や、後の砲撃で割れるガラスにこの時のシーンが入っていたりするところに繋がってはいるのですが、消化不良な感じです。ラストのレイとスカーレットの2ショットに暗雲が描かれているのも気になります。戦争に対して子供たちが皆肯定的なところは良く出来てると思いました。僕は戦後生まれなので戦争には反対ですが、戦時中に育った子供というのは、戦争=悪という認識が無かったのでしょう。「AKIRA」ではネオ東京という近未来の世界を徹底して描いて「MEMORIES」ではクオリティの高い様々な短編を描き、「スチームボーイ」で大友克洋が本当にやりたかった世界をやっと描いたのかな、と思いました。大友克洋はなんとなく同じことをしたくないタイプだと思うので、今までやっていなかったことをした結果、こうなったのかなと思いました。