映画と漫画について

こんにちは。今考えていることに映画と漫画の違いということがあります。この二つの媒体は似ています。ストーリーがあり、出演者がいて、照明、編集、カット割、レイアウトがあるところも似ています。決定的に違うのは映画は光と音、漫画は文字と絵でできているという点です。また映画は様々なものがありますが、主に三次元の世界を切り取り、編集し繋ぎ合わせ、存在しない時間を観客に体験させるものに対し、漫画は二次元の世界を切り取り、編集し繋ぎ合わせ、存在しない時間を読者に体験させてくれます。存在しない時間とはどういうことかというと、それは映画なら二時間くらい、漫画なら30ページくらいの時間のことです。映画で例えれば、黒沢清などがよく使う長回しの手法などは現実に起こった実際の出来事を目撃している感覚を覚えます。それは編集という手が加わっていないため、実際にその時間と同じ時間カメラを回し、演者が演技をしたということだからです。逆に言えば、編集というものが入ることによりこれは映画なんだと再認識させる異化効果もあるということです。これは漫画では表現できません。漫画でやるとすれば、同じコマ割りを何個か作り、アニメーションの原画のように動きのポイントを描くしかありません。しかしこれでも映画の長回しのような効果はありません。なぜなんでしょうか。じつは僕もまだわかっていません。例えば「戦場のピアニスト」のシュピルマンが目撃するドイツ兵の理不尽な虐殺は大体がシュピルマンの視点から描かれており、実際にその場にいるような臨場感があります。なぜなのか。それは当たり前ですが、その映像が現実の世界を切り取ったもので、実際の史実を基に作られているノンフィクションだということが関係していると思います。漫画はどこまでリアルに描いたとしてもそれは空想の世界を切り取ったもので、読む人もそれを前提に楽しんでいるのかもしれません。僕も小さい時はやはり映画よりも漫画のほうが好きでしたし、子供向けのメディアというのは大概二次元のキャラクターなので親近感があるのかもしれません。
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