ミッシェル・オスロ監督作品 夜のとばりの物語-醒めない夢-について

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こんにちは。ミッシェル・オスロは前に「キリクと魔女」を観たことがあります。たしか髙畑勲とのトークセッションみたいな映像特典がついていました。「キリクと魔女」はフランス人が作った、ということを知ってとても驚きました。僕は勝手にどこかの少数民族が自主製作で作ったアニメーションだと思ってしまいました。そのくらい映像が独特で、原色の鮮やかな背景やエジプトの壁画のように人物を横から描いた表現も国籍がよくわからないことに拍車をかけています。そのトークセッションでいっていたと思うのですが、なぜこういう映像になったのかというのは監督は幼少期にアフリカに住んでいたことがあり、その時の色彩のイメージが強烈に脳に焼き付いた為だと言っていました。「夜のとばりの物語」はオムニバス形式の全6話で構成されています。話の前に必ず3人の人間が次はどういう話にするか会議します。そしておそらく舞台を意識しているのだと思うのですが、幕が上がり話が始まります。そして1話ごとにエンドロールが流れて話が終わります。これは異化効果ですね。観客は今観ている映像は誰かが作った映像であることを自覚して観ることになります。当たり前といえば当たり前ですが、日本のアニメーションの多くは主人公に感情移入させ、物語の世界を気づかせないようにしがちだと思います。この映画はいきなり冒頭から水をかけられて話は始まるわけです。客観主義です。僕は格好いいと思います。映像は相変わらず綺麗です。人物が黒ベタな分背景の鮮やかさが際立ちます。また「キリクと魔女」でもありましたが登場人物の足が異様に速いです。トークセッションでも子供にそのことを質問されていました。僕は夢で見た橋に行く話が好きでした。