天野喜孝 やさいのようせいについて

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こんにちは。今とても感動しています。凄い作品を観ました。こういう一瞬の感情を文章にすぐできるのがブログの優れたところです。やさいのようせいは昔から好きでした。劇場版があることは知っていましたが、何故か観ていませんでした。20分位の短編映画でしたが、2時間位の充実感でした。僕はこういう作品を観ると涙こそ出ませんが、なんというか胸が熱くなります。ストーリーはいちいち書きません。水彩画のようなCG、調べてみるとそういうソフトを使って水彩画っぽくしているそうです。こういうCGは「うっかりペネロペ」でも使われていました。このCGが美しいです。2009年の作品ですので技術は今に劣る筈ですが、2021年の今観ても全く違和感なく観ることができます。構図、カメラワークも細部に行き届いていて、見ていて思わず目を奪われるシーンがありました。音楽も綺麗でした。原田知世のナレーションも透き通った声で癒されます。そしてキャラクターたちの言葉がなく、ナレーションで説明するスタイルもキャラクターの顔の表情や動きにより注目できて良いです。そして生まれて咲いて枯れてまた生まれるという生命のサイクルを20分の映画にまとめられたことが素晴らしいです。観ていて髙畑勲の「かぐや姫の物語」を思い出しました。そういえば昔話のようでもありますね。満月の夜に赤ん坊が綺麗な娘になり、そして消えるというのは童話的です。まあこんな小難しいことを考えなくても映像と音楽で小さい子供でも理解でき、大人は完成度の高さに驚く映画だと思います。こういう作品を漫画でやりたいのです。最近宮澤賢治が何故か頭にちらついています。同じモチーフを何度も使う作家に興味が向いてきているのだと思います。思えば、僕の尊敬する人たちはそういう人が多いかもしれません。そして自分は現実の風景よりも精神世界の風景、つまり夢の風景を描きたいのだと気付きました。言うは易し行うは難しですが。