大林宣彦監督作品 廃市について

こんにちは。柳川と聞いて思い出すのは高畑勲の「柳川堀割物語」(1987)です。大林宣彦は確か「BSマンガ夜話」(1996)で高畑勲の作品について語っていて違う畑ですがお互いに意識し合っていたのかもしれません。小林聡美の演技が初々しい感じがしたのですが前作の大林宣彦の「転校生」(1982)は男女の身体が入れ替わる話らしく観てないので何とも言えませんが「転校生」でカラッとした役を演じさせたからその振れ幅で方言とお淑やかなお嬢様の役を大林宣彦が演じさせたかったのだと思います。「廃市」(1983)で面白かったのは散々美しく掘割や歌舞伎や祭などを見せておいてそれらを全て死んでいるものだと断言しているところです。何度台詞で否定的な言葉が出てきたか得てしてこういう地方ロケーション映画はその地を肯定し文化を称賛するものですが「廃市」はそうではありません。でもそれが素晴らしいのです。話は所謂心中ものです。貝原直之(峰岸徹)の演技が良かったです。それから小林聡美はアドリブが出来る言うなれば呑気な空気感が無ければ真価を発揮できないことが分かりました。やっぱり笑うのにしても「やっぱり猫が好き」(1988)では本当に笑っているから面白いですし凄いのであって完全にフィクションではそれは出来ないようです。それから貝原安子(小林聡美)の台詞でこの町では時間の歯車が狂っているみたいな台詞があって主人公の江口(山下規介)が町に来てから止まってしまった時計がラストで動き出す演出が良かったです。