2クールについて

こんにちは。小林聡美関連の作品を観ていると本人がどう思っているのかは知りませんがジョン・カサヴェテスの演出論に近いものを感じます。それはつまり俳優が持っている素の力を引き出して物語を作る方法です。それはアドリブとは少し違っていてまあロケーション番組に近いといえば近いのですがそれをドラマとして成立させた作品です。いや成立してないのもありますが小林聡美もたいまさこがこんなに話しているだけで良いのです。この「2クール」(2008)は役名が無い話が多いです。例外的にドラマの回もありますが大体は実名で出演しています。それはその俳優の普段の人間性を見ているスタッフがこの俳優は演じている役よりも普段の方が面白いからじゃあそのまま演れば良いのではという試みだと思います。「犬に名前をつける日」(2015)もそうでしたが小林聡美関連の作品はドキュメンタリーとフィクションの中間みたいな作品が多いです。でもそんなポジションの俳優は稀です。そして「ペンションメッツア」(2021)もそうだったように役と本人との距離が限りなく近いことも特徴です。エンディングがハンバートハンバートの「罪の味」でそれに合わせて踊る二人の映像は中毒性があります。今日一日で13話全て観たので正確な感想は書けませんが恐らく完全に素に近い二人の会話を観れただけでも良かったです。

20230622

二周目を観て二話の「店番」と十一話の「ホテルの休日」が特に面白いです。順番に観ていくとまとまりがない感じが逆に飽きが来ない仕掛けになっています。