最近考えていること

こんにちは。はい4月が終わります。今月は結構充実していたような気がします。原田知世の「天国にいちばん近い島」(1984)が良いです。これはニューカレドニア島を舞台にした森村桂の「天国にいちばん近い島」(1966)という旅行記が基になっていて、原田知世主演で映画化もされています。そしてそれを土岐麻子がカバーしたバージョンもまた良いです。背筋というペンネームの「近畿地方のある場所について」(2023)というネット小説を読みました。大変面白かったです。明らかに元ネタが解るような引用をしていてこんなこと確かあったよな、と何度も途中でインターネットで調べました。それこそがこの作品の言いたかったことでつまりまさるさまがましらさまになり、ましろさまに変遷していったように、怪談という文化は時代によって呼び名を変え続けながら生き続けていくのだろうと思います。最早ホラー作品はこういう開き直った作り方しか出来ないのかもしれません。まあ恐いので別に良いのですが、ホラー好きな人は直ぐにあぁあの事件をモチーフにしているな、とか謎のシールは探偵ナイトスクープの謎のビニール紐でこれはあの有名な2ちゃんねるのスレッドをオマージュしているな、などと解ってしまうのは途中から少し冷める感覚がありました。僕としては会社のパーティーで意味不明な言葉を話しているところでこれは明らかにフィクションだろうな、と思ってしまいました。今日読んだ阿澄思惟の「禁祀:occult」(2021)と比較するのは嫌らしいですが、「禁祀:occult」の場合は引用している文献が実在のものであることで、創作か真実かの境界をギリギリ保っているのですが、これは初めから1984年の奈良県の失踪事件からインターネットに情報が無いので、そこがフィクションの限界かなとも思いました。しかしですねインターネットが全てではありません。本当に抹消されている可能性も無くはないのです。そして今これを書いていてもし直ぐに全く知らないアカウントからコメントがついたりしたらどうしよう、と背後が気になっている自分がいます。情けないですが同時にこの状況が楽しくもあります。お山というキーワードは煙鳥という怪談収集家の話にもあって奇妙にも符号しています。また僕の職場にもありがとうございます、と癖のように話す人が居てその人は男性ですがこの話の新興宗教の特徴に当て嵌まります。怪談ってこういう心理から生まれるのでしょうね。