こんにちは。今日は劇的なことがありました。いや映画のようなことでした。僕は廃墟の資料を集めるのが趣味で廃墟っぽいところの写真とかを良く勝手に撮っています。それ自体推奨されることではないことは承知していますが廃墟なのでただパシャっと撮ってサッと帰るだけなので許してくれと思いながら撮っていました。国道沿いに前から気になっていた巨大な商業施設の廃墟がありました。外観は草臥れていて看板や外壁の塗装も剥げているのにかなりの存在感でそれはあって今日こそそれを撮ろうといざ撮っていました。一通り撮り終えて帰ろうとしたら入口に一人のおっちゃんが座っています。一瞬考えを巡らせて恐らくここの土地の所有者だろうと思いまず勝手に写真を撮ったことを謝りました。「いやそんなことはええんよ」と咥え煙草にマッチで火を付けながらおっちゃんは言います。この仕草だけでもかなり映画的です。おっちゃんは何故写真を撮ったのか理由を聞きたがります。僕は本当は漫画の資料のために撮っていたのですが何となく言いづらく趣味で集めているとはぐらかしました。「それなら他にもそういう写真があるはずよねそれ見せて」とかなり食い下がってきます。少し疑問に思っていると「本当は誰に頼まれたの?」と聞かれました。僕は面食らって本当にただ趣味で集めていることを強く主張しました。話を聞いているとどうやらそこの商業施設は売りに出されてはいるもののまだ営業している店らしくその買い手の業者が寄越した人間だと思っていたらしいのです。つまり建物の下見というかどういう状況かを撮りに来た密偵だと思われたのです。僕は初めてそんな台詞を現実で言われました。言葉はおかしいですが光栄な気持でした。その後僕も本当は漫画を描くために資料を集めていることを打ち明けておっちゃんも許してくれました。その商業施設は築50年くらいの建物らしく高速道路が通る前は非常に栄えていたらしいのですが高速道路が開通しその国道を通る車が減り廃れていったらしいのです。その大きな施設の中はボウリング場とレストランが併設されていました。ボウリング場は今は廃業しレーンのところに畳を敷いているらしいです。そのおっちゃんの風貌も禿頭にポロシャツの中肉中背で如何にも映画の登場人物のようであって本当に映画みたいな体験でした。失礼ですが哀愁がありました。そしてここ最近で一番興奮した出来事でした。