いしいひさいち原作 高畑勲監督作品 ホーホケキョ、となりの山田くんについて

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こんにちは。こういう普通の家族の日常をコミカルに描いた作品はさくらももこの「ちびまる子ちゃん」や長谷川町子の「サザエさん」、最近の作品でいえば、けらえいこの「あたしンち」など沢山あります。この映画はいしいひさいちの4コマ漫画「ののちゃん」が原作にあります。「じゃりン子チエ」の時もそうでしたが、高畑勲は漫画を再構成して物語にするのが上手いです。4コマ漫画は4コマで終わるため、起承転結が必然的に入ります。手塚治虫も4コマ漫画さえ描ければ漫画は描ける、と言っているくらい漫画における基本形です。しかしこの「ホーホケキョ、となりの山田くん」は只4コマ漫画を繋げて映画にした訳ではありません。間に色々な息抜きがあって、本当によく出来ていてます。矢野顕子の音楽も合っています。そして音楽の使い方も場面にマッチしています。観ていてほんわかした気持ちになれる優しい映画です。絵柄が一度だけリアルになる話があります。暴走族の青年に注意する話です。この演出の意図は創作物における勧善懲悪に対する批判と、それに対する高畑勲なりの回答だと思います。つまり現実の世界ではあり得ないことを絵柄を変えることで成立させています。その後の父親の哀愁も良いです。