中山昌亮 後遺症ラジオについて

 

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こんにちは。この漫画は僕が高校生くらいの時に初めて読みました。話は短編集のような感じですが、巻を重ねるごとに一見関係のないような出来事が徐々に繋がっていきます。ホラーを漫画で表現しようとすると、楳津かずおか水木しげる伊藤潤二のどれかになると思っていたのですが、「後遺症ラジオ」は新境地を拓いた、と思いました。話が逸れますが悠遠かなたという現在でもYOUTUBEで活躍されている配信者の方がいます。僕も随分とオカルトやホラーのことに関して影響を受けています。所謂懐疑派というもので、例えば映像や写真に不可解なものが映りこんだとしても、まずは状況的にあり得うる可能性を排除していき、どう考えてもあり得ないことが心霊現象である、という考え方です。この人のオカルトに対するスタンスが好きでこの「後遺症ラジオ」も読みました。この漫画にはおぐしさまという神様が登場します。地方に広がっている噂話の根源を調べると一つの話だったということは怪談を蒐集している人には良くある話だそうです。また口裂け女人面犬など噂話がひとり歩きしだすこともよくあります。僕が読んでいて感じたのは恐怖よりも気持ち悪さです。黒沢清の「岸辺の旅」で優介が言う幽霊の末路、なにか得体のしれないゾッとするようなものに変わっていった姿、初めはちゃんと目的があって存在していたはずが長い年月で目的は失せて怨みのみが残った成れの果て、がこの漫画に出てくる幽霊だと思いました。かくいう僕も懐疑派の人間なので幽霊は信じていませんが、もし居るのなら見てみたいです。スマートフォンが普及し誰もがいつでもどこでも写真が撮れるようになった現代で何故か心霊写真は姿を消しました。まあそういうことです。あと表紙のデザインが素敵です。