髙畑勲監督作品 平成狸合戦ぽんぽこについて

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こんにちは。凄い映画です。少なくとも映画を好きで観ている方ならこの話の構成の巧さにびっくりすると思います。なんというか、何か事件が起きてそれに対するリアクションが徹底してリアリティを持っています。そして髙畑勲の日本の伝統文化への造詣の深さ、インテリジェンスが随所に感じられます。またナレーションで物語の出来事を説明することで、分かりやすくするだけでなく観客の視点を客観的に持っていく効果もあると思います。良い映画に共通していることに、ひとつの表現の中に何重かの構造があって、多様に読み取ることが出来るということがあります。狸たちの行動は人間の行動、特に日本の戦争の歴史に酷似していますし、妖怪大作戦、というのはアニメーションと重なります。それと作画が綺麗です。冒頭の鈴ヶ森と鷹ヶ森の狸の合戦シーン、星空の丘にショベルカーだけある背景なのですが、とても綺麗です。全体通してクオリティが高い作画でした。髙畑勲の作品はラストでいつも感動、というかなんとも云えない気持ちになります。その時の感情は悲しいのではなく空しいに近いです。「おもひでぽろぽろ」のラストなんかもそうです。あと音楽の使い方が上手いです。音楽の演出効果というものを良く解っています。好きなシーンも沢山あります。