清水崇監督作品 こっちを見ないでについて

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こんにちは。ずっと昔に観て面白かった記憶があった作品です。今回詳しく調べると2003年の「幽霊VS宇宙人」というオムニバス映画の一編だったようです。清水崇は「呪怨」が有名です。僕はビデオ版、映画版両方好きですが、恐いのはビデオ版の方です。ホラー業界は同じタイトルが多く混同してしまいます。「リング」もテレビ版と映画版が存在しています。黒沢清のホラーが西洋のゴシックホラーだとすれば、清水崇のホラーは日本の怪談のようです。怨みや幽霊など、落語に出てくるような古典的なテーマを扱っています。「こっちを見ないで」もタイトルに怪談と銘打たれているように恋人に殺された女が自分の死体が埋まっている家に出てくる話です。僕が好きな演出で人の声が徐々に大きくなるBGMがあるのですが、それがとても良いです。黒沢清の「回路」でも同じBGMが使われていました。主人公の秀一が幽霊に触れるようになる所から、一気にコメディのようになるのですが、それまでは普通のホラーのように少し見えて消えるを繰り返します。この短編の良く出来てる所は、コメディになってからも時々幽霊が全く会話が通じない別の世界のものであることが分かるところです。そして幽霊が冒頭の通夜の故人を呪い殺したことが分かる場面、個人的にこの目的を失いなお居続ける幽霊の恐さが一番恐かったです。コメディとホラーは紙一重だと松本人志もいっていましたが、それを交互に見せることで一瞬心が通いそうだな、と思わせておいて全く会話になっていない恐怖が生まれます。時々挟まる幽霊の顔も恐いです。